「最近尿の出が悪くなってきた」「最近なんだか頻尿気味…」などとお困りの方は、前立腺肥大症の可能性も考える必要があります。
前立腺肥大症は放っておくと進行する可能性もあり、早期の検査と治療を行うことが大切なのです。
この記事では、前立腺肥大症の症状や検査方法、主な治療法について解説いたします。
前立腺肥大症って?検査方法は?
前立腺肥大症とは、加齢とともに前立腺が肥大していく病気のことです。前立腺が肥大することで排尿に関する様々な症状が見られる可能性があります。
ここでは、前立腺肥大症の原因や症状、検査方法について解説します。
前立腺肥大症の原因と症状
前立腺肥大症の原因は明確になっていませんが、男性ホルモンを含む性ホルモン環境の変化によって前立腺が肥大すると考えられています。
中高年になることで男性ホルモンの分泌が減り、女性ホルモンとのバランスが崩れてしまうのです。
加齢とともに前立腺が肥大することにより、尿道や膀胱が圧迫を受けて以下のような症状が発生してしまいます。
排尿時の症状
尿の勢いが弱くなったり、尿が出始めるまでに時間がかかったりすることがあります。
また、尿が途中で途切れてしまったり、尿が途中で別れたりすることも前立腺肥大症によくある症状です。
排尿後の症状
前立腺肥大症では、排尿後の残尿感が見られることも特徴の一つです。
また、排尿が終わったと思って下着をつけたところ、残っていた尿が漏れて下着を汚してしまうといった症状もあります。
普段からある症状
頻尿や急激な強い尿意を感じることがあります。
前立腺肥大症の検査方法
前立腺肥大症の検査には、以下のようなものがあります。
自覚症状の程度の評価
症状質問票を用いて、前立腺肥大症の症状レベルをスコアで評価します。
直腸内指診
肛門から直腸に直接指を入れて前立腺を触り、形状や硬度、痛みの発現有無などを確認します。
尿検査
尿を検査し、濁りや血尿の有無を検査します。
尿流測定
検査機器に排尿し、尿の勢いや量、かかった時間などを数値化して確認します。
残尿測定
排尿直後の残尿量を下腹部への超音波検査にて測定します。
血清PSA測定
前立腺から分泌されるタンパクであるPSAの濃度を、血液検査により測定します。
PSA濃度が上昇している場合、前立腺肥大や前立腺がんの疑いがあるのです。
前立腺超音波検査
超音波検査により、前立腺の大きさを正確に計測可能です。
前立腺肥大症の治療方法
前立腺肥大症の治療方法は、大きく2つに分かれるため、ここでそれぞれに関する解説をいたします。
手術による治療法
症状が重い場合には、手術による治療が想定されます。
前立腺肥大症に対する治療法として、現在一般的なのは「経尿道的前立腺切除術(TURP)」です。
TURPでは輪になった電気メスを付けた内視鏡を尿道内に挿入し、幹部をモニターチェックしながら肥大した前立腺組織を尿道粘膜ごと切り取ります。
TURPは開腹手術に比べて身体への負担が少なく、通常数時間程度で終了する手術です。術後には発熱や疼痛などが見られますが、通常ならば数日間から数週間で収まります。
また、新しい手術方法としてレーザーを使用した「HoLAP」という手術法もあります。HoLAPは、レーザーを用いて肥大した前立腺部分を焼き飛ばして除去する手術法です。
薬による治療法
比較的症状が軽い段階であれば、投薬による治療を行うのが一般的です。
前立腺や膀胱、尿道の緊張を緩める薬や、前立腺を小さくする薬などがあり、具体的には以下のような薬が用いられます。
α受容体遮断薬
前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療薬として多く使われている薬です。
前立腺平滑筋への交感神経緊張状態を緩和させることにより前立腺を弛緩させ、結果として尿道等への圧迫を軽減します。
5α還元酵素阻害薬
血液中にある男性ホルモン(テストステロン)の、前立腺組織に対する作用を抑制する薬です。テストステロンの働きを抑制することで前立腺肥大細胞の増加を抑えることができ、結果として前立腺を小さくする効果が見込まれます。
抗アンドロゲン薬
前立腺に対する男性ホルモンの作用を抑制する薬です。
上記の他にも各種生薬や漢方などを処方することもあります。
まとめ
この記事では、前立腺肥大症の症状や検査方法、前立腺肥大症に対する治療法について解説しました。
前立腺肥大症の原因ははっきりとは分からないものの性ホルモン環境の変化が関係しているとみられており、様々な検査を行って診断を行います。症状が軽いうちは投薬で治療をしますが、症状が進行した場合は手術での切除も検討が必要です。
前立腺肥大症の検査・治療は泌尿器科を受診することで行えます。泌尿器科受診は我孫子東邦病院で行えますので、前立腺肥大症の症状が見られるなど、不安な方やお困りの方は早期受診をおすすめします。