「加齢とともに、前立腺疾患が心配になってきた」ということはありませんか。前立腺疾患には、さまざまな種類があります。このページでは、前立腺の概要と注意したい前立腺疾患の特徴を紹介しています。以下の情報を参考にすれば、どのような疾患に気を付ければよいかがわかるはずです。健康管理の参考にしてください。
前立腺とは?
前立腺は、男性生殖器のひとつです。この特徴からわかる通り、女性には存在しません。前立腺は、尿道を取り囲むように膀胱の下(直腸と恥骨の間)に位置します。尿道まわりの内腺とそれを包む外腺で構成されます。前立腺の大きさは、一般的な成人男性で20ml以下です。クルミやクリ程度の大きさといったほうがわかりやすいかもしれません。ただし、前立腺の大きさは、加齢とともに大きくなります。
前立腺の役割は、前立腺液を分泌することです。精子の一部になる前立腺液には、精子に栄養を与えて運動機能を助ける働きや、精子を保護する働きがあります。意識することは少ないですが、重要な男性生殖器のひとつといえるでしょう。
多くの方が気を付けたい前立腺疾患として、前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎が挙げられます。それぞれ、どのような特徴があるのでしょうか。
前立腺疾患の症状や原因
前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎の特徴を紹介します。
前立腺がんの特徴
前立腺の外腺に発生する癌です。加齢とともに罹患のリスクは高くなります。日本国内で最も増加している癌のひとつと考えられている点にも注意が必要です。発生には、男性ホルモンが関わっていると考えられています。具体的には、加齢によるホルモンバランスの変化が影響を与えていると考えられているのです。
早期の前立腺がんに特有の症状はありません。進行すると、尿が出づらい、排尿時の痛み、血尿などの症状が現れます。さらに進行すると、腰部、臀部の骨へ転移することもあります。基本的には進行速度の遅いがんなので、早期に発見すれば治療でコントロールできるケースが少なくありません。50歳以上の男性は、PSA(前立腺特異抗原)検査などを受けて、早期発見に努めるとよいでしょう。
前立腺がんの治療は、手術治療・放射線治療・ホルモン治療が基本です。手術治療・放射線治療は前立腺がんの根治を目指す治療、ホルモン治療は前立腺がんをコントロールする治療と位置づけられます。前立腺がんの状態、患者様の年齢、健康状態などを考慮しながら治療法を選択します。
前立腺肥大症の特徴
前立腺肥大症は、最も多いとされる前立腺疾患です。50歳ごろから頻度が増すと考えられています。前立腺の内腺に良性の腫瘍が発生して、尿道や膀胱を圧迫する病気です。前立腺がんとは別の病気なので、前立腺肥大症が前立腺がんへ進行することはありません。ただし、合併するケースは少なくありません。はっきりとした原因はわかっていませんが、男性ホルモンなどの環境変化が関わっていると考えられています。明確な危険因子は加齢です。
前立腺が肥大すると尿道が圧迫されるため、尿が出づらい、尿の勢いが弱い、尿が途切れるなどの症状が現れます(平滑筋の収縮も関与しています)。さらに、尿を我慢できない、尿が近い、尿漏れ、残尿感などの症状が現れることもあります。いずれも、前立腺肥大症特有の症状ではありませんが、前立腺肥大症に多い症状です。気になる点がある方は、泌尿器科で検査を受けましょう。
前立腺肥大症の主な治療法は、薬物治療・手術治療・保存治療(生活習慣の改善など)です。まずは、薬物治療と保存治療を並行して行い、改善しない場合や合併症がみられる場合は、手術治療を行うことが一般的です。
前立腺炎の特徴
前立腺が炎症を起こしている状態です。前立腺炎は、急性前立腺炎と慢性前立腺炎にわかれます。同じ前立腺炎ですが、両者の特徴は大きく異なります。
急性前立腺炎は、細菌が前立腺に感染して激しい炎症を起こす病気です。性行為などが原因になり得ますが、はっきりとした原因がわからないケースもあります。主な症状は、38度以上の熱、頻尿、排尿痛、残尿感、会陰部痛などです。炎症が軽い場合は抗菌薬の内服で治療できますが、炎症が激しい場合は点滴治療が必要になることがあります。
慢性前立腺炎は、会陰部痛、下腹部の違和感、頻尿、残尿感、排尿痛など、さまざまな症状を引き起こす病気です。急性前立腺炎に比べると、症状は穏やかと考えられています。また、発熱もしません。急性前立腺炎から移行して引き起こされることもありますが、細菌の感染を確認できない非細菌性のものなどがあり、はっきりとした原因がわからないケースが多いとされています。基本の治療法は、薬物治療と生活習慣の改善です。ただし、急性前立腺炎に比べると治療期間は長くなる傾向があります。
前立腺疾患が心配な方は泌尿器科を受診しましょう
前立腺は、男性だけにある生殖器です。よくある疾患として、前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎が挙げられます。尿が出づらいなど、何気ない症状が重大な病気により引き起こされているケースもあるので、気になる症状がある方は我孫子の泌尿器科を受診しましょう。