男女問わず、ある一定以上の年代になると気になってくる膀胱炎。膀胱炎の主な原因と予防法をきちんと把握することができれば、膀胱炎の症状を最小限におさえることができますし、早期治療も容易になります。初期症状から重症化までのプロセスも合わせてチェックしておきましょう。
膀胱内に雑菌がたまる
膀胱炎は基本的に、膀胱内に侵入した雑菌が繁殖することで炎症が悪化すると考えられています。
雑菌繁殖の原因としては、排尿の極端な我慢による尿の蓄積、遺伝的体質、導尿カテーテルによる尿の逆流などが考えられ、予防法としてはまず膀胱内に尿を溜め込まないことが最善であると言われています。
膀胱炎になりやすい人はいるの?
膀胱炎は雑菌が原因となって引き起こされるため、職業柄尿意を長時間我慢しなくてはならないような人は膀胱炎のリスクが高まってしまうと考えられています。
また、かつては男性よりも女性のほうが膀胱と尿道との距離がみじかいため膀胱炎の罹患率が高まると考えられていましたが、最新の研究では男女比に有意差はないとされており、男性であっても体質や環境次第では膀胱炎になりやすくなってしまうと言われています。
膀胱炎の症状と予防法
雑菌が原因となって引き起こされるタイプの膀胱炎の場合、初期の段階からするどい排尿痛などが症状として表れます。いったん繁殖した雑菌は自然に排出されることはないため、このタイプの膀胱炎を発症したら飲み薬などを服用し、膀胱内の雑菌を駆逐する必要があります。
予防法としては、尿意を長時間我慢しない、陰部の周辺をつねに清潔に保つ、などが考えられ、日頃の生活習慣を少し見直すだけでもリスク要因をかなり減らすことができ、効果的な予防につなげることができると言われています。
気づきにくい膀胱炎もある?
痛みをともなう膀胱炎ばかりではありません。ここ数年は「過活動膀胱」と言って、尿意が数分間隔でおとずれ、耐えがたい焦燥感に襲われるというパターンの膀胱炎も増えています。
このタイプは雑菌が原因ではなく、膀胱内の尿の蓄積量を関知して尿意を知らせる脳のセンサーが何らかの理由により異常をきたしてしまうことによって膀胱が過敏になってしまっていると考えられています。通常の膀胱炎の場合、尿意を極力我慢しないことが最善の予防法ですが、過活動膀胱の場合、反対に尿意をある程度我慢するトレーニングを繰り返し、脳内の排尿センサーを正常に戻すことが予防としても大切であると言われています。
介護現場で気をつけるべき膀胱炎の原因
本人がどんなに気をつけていたとしても、介護現場では介護スタッフの不注意により発症の原因をつくってしまう、というシチュエーションがよく見受けられます。
たとえば、導尿カテーテルを利用している方の場合、カテーテル交換の過程で雑菌が膀胱内に逆流してしまい、その結果として重度の膀胱炎による発熱や感染症が引き起こされてしまう、ということがよくあります。
また、つねにオムツを着用している場合はどうしても陰部周辺が雑菌にさらされやすくなりますので、オムツをこまめに交換するなど、尿道を通して雑菌が逆流しないように対策を講じておくことが肝要となります。
予防の大原則をしっかりと認知しておこう
性別や年代を問わず、膀胱炎はするどい痛みや発熱、感染症などを引き起こしかねない非常に恐ろしい病気です。「雑菌を繁殖させないために尿意を長時間我慢しない」ことが予防の大原則となりますが、過活動膀胱の場合は反対にある程度意識的に尿意を我慢し、脳内のセンサーを正常に戻してやることが最善の予防法とされていますので、まずは専門の医療機関を受診し、発症の原因をきちんと特定する必要があります。