透析センター
人工透析とは
腎臓は体の環境を一定に保つために不可欠な臓器です。体内で作られた老廃物や毒素、余分な水を尿として体外に出し、他には血液を弱アルカリ性に保ち、電解質バランスを維持し、エリスロポエチン(造血ホルモン)、レニン、プロスタグランディン、キニンといった各種ホルモンを産生し、ビタミンDを活性化させて骨を維持し、血圧の調節をおこなっています。
これらの機能のどれが欠けても、体の環境を正常に保つ事はできません。腎臓の機能が落ちると、上記の働きが障害されて様々な症状を来すことになります。
腎臓病の治療は原疾患にもよりますが、当初は食事療法や生活改善、薬物療法がメインです。しかし、ある程度病気が進行すると回復は難しくなり、腎臓の本来の働きを補う目的で透析療法が必要になってきます。
透析療法
透析療法は腎臓に代わって血液をきれいにし、水分、電解質バランスを調節する方法で、血液透析と腹膜透析の2つの方法があります。
血液透析
血液を機械に通して濾過する方法です。一般的には腕の血管からポンプを使って体外に血液を取り出し、ダイアライザーという透析膜を通して不要な老廃物、水分、電解質をこし出し、きれいになった血液を再び体の中に戻します。週2~3回と定期的に透析を行う医療機関を受診し、専門のスタッフによって1回3~4時間行う必要があります。
内シャント
血液透析では、毎分200ml前後の血液を循環させる必要があるため、バスキュラーアクセスと呼ばれる血管の取りだし口が必要です。一般的には、手首の動脈と静脈をつなぎ合わせて血管を太くする手術を事前に行います。こうしてできた血管を内シャントといいます。
腹膜透析
機械ではなく、患者さまご自身の腹膜を透析膜として利用する方法です。腹膜はお腹の中で胃や腸を包んでいる膜で、成人では2平方メートル以上あり、表面には細かい血管が網の目の様に張り巡らされています。お腹の中に管を通して透析液を入れる事により、腹膜の血管から老廃物や水分が透析液にしみ出し、一定時間ごとに透析液を入れ替える事で、体内を綺麗にすることができます。一般的にはCAPD(持続携帯式腹膜透析)が行われています。これは透析液の注入を、自宅や職場で患者さまご自身が行います。い。
腹膜透析カテーテル
透析液をお腹の中に入れる為の管を、透析を始める前に留置する手術を行います。
血液透析と腹膜透析の比較
血液透析 | 腹膜透析 | |
---|---|---|
治療場所 | 病院 | 自宅、職場(自己管理) |
治療時間 | 1回4~5時間週3回 | 1回20~30分1日4回 |
通院 | 週3回 | 月1~2回 |
手術 | 内シャント作成 | カテーテル挿入 |
体液の変動 | 急激に変動する | 緩徐に変動する |
心臓等循環器へのストレス | 負担が大きい | 負担が小さい |
水分、食事制限 | 厳しい | 比較的ゆるめ |
合併症 | 不均衡症候群など | 腹膜炎などの感染症 |
継続可能期間 | 半永久的 | 約7年 |
透析センターの特長
当院では1995年より透析センターを開設し、近隣在住の方を中心に血液透析、腹膜透析治療を行って参りました。血尿、蛋白尿の診断から、慢性腎不全の治療、糖尿病や長期透析に伴う合併症の加療など、関連各科と連携の上で、より高いレベルでの総合的な透析医療を目指しております。
現在、外来用に21床、入院用に7床の血液透析ベッドを有し、月曜日から土曜日の午前午後に2回透析を行っております(外来透析は、火木土は午前のみ)。
- 外来透析の患者さまには、送迎車による送迎も行っております。
- ねたきりの方、在宅介護や通院が難しい方の長期入院透析(血液透析、腹膜透析)もお受けしております。透析病棟内に入院透析室があるため、移動による血圧変動等のリスクを最小限に抑えることが可能となっています。
- 帰省、旅行、出張等で近隣に来られた透析患者さまの臨時透析も受け付けております。
お問い合わせ、ご質問などは、スタッフまでお気軽にご相談ください。
診療・見学受付
お問い合わせ・お申込み
施設見学をご希望の方は、事前にTel04-7182-8166透析センターもしくは医療連携室までご連絡ください。
月曜~金曜までの9時から16時30分まで受け付けております。
当院で透析を希望される方
当院の泌尿器科外来を受診していただくことが必要です。
この際、現在の主治医からの診療情報提供書、看護サマリー、透析条件データー、また保険証、特定疾病療養受療証、身体障害者手帳をご持参ください。
一般的な費用
透析を受けている方の経済的な負担が軽減されるよう、次のような公的負担制度が確立されています。
長期高額疾病(特定疾病)にかかる特例
特定疾病療養受領書」を取得すると、透析を受けている方の医療費の自己負担は1ヶ月に最高1万円(月収53万円以上かつ70歳未満の上位所得者の場合は最高2万円)までとなります。なお、食事代、入院の際の差額ベッド代等は含まれません。
身体障害者手帳
腎不全が一定以上に進行すると、身体障害者福祉法に定められた、身体障害者の認定を受けられます。身体障害者手帳を取得した後、手続きを経ることでさまざまな福祉サービスを利用する事ができます。
- 税金の軽減:所得税、贈与税、住民税、自動車税
- 交通機関の運賃割引:タクシー、JR、私鉄運賃、航空運賃など
- 有料道路通行料の減額
- 駐車禁止区域(法定禁止区域を除く)への駐車許可 等
自立支援医療(更生・育成医療)
「身体障害者手帳」を取得して手続きをする事により、医療費の自己負担の一部が給付されます。当院は更生・育成医療指定医療機関のため、この制度による給付が受けられます。
都道府県による障害者医療助成制度
各地方自治体による独自の制度により「身体障害者手帳」を取得している人は、医療費の助成を受けられます。
詳細はお住まいの市町村役所の福祉課窓口にご相談、ご確認ください。
障害年金
病気やけがのために障害が残り、日常生活、就労が難しい方に支給される年金で、透析を受けられている方は受給できる可能性があります。詳しくは市町村役場の年金係や民間の障害年金相談センターなどにご相談ください。
常勤医
大槻 英男
副院長・透析センター長
資格・備考
- 日本泌尿器科学会専門医
- 日本泌尿器科学会指導医
- 日本透析医学会専門医
- 日本透析医学会指導医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医
- 泌尿器腹腔鏡技術認定制度認定医
- 日本ロボット外科学会専門医(国内A級)
- 泌尿器ロボット支援手術プロクター認定医
- 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医
- 日本排尿機能学会 専門医
- 臨床研修指導医
- ICD(インフェクションコントロールドクター)